拡大
18日、中国メディアの界面新聞は中国自動車メーカー各社の2024年度の決算報告について分析を加えた。写真は長城汽車。
2025年4月18日、中国メディアの界面新聞は、中国自動車メーカー各社の24年度決算報告で、大手3社が純利益100億元(約2000億円)超えを達成するなど好調な一方で、江淮汽車(JACモーターズ)が赤字になるなど、明暗がはっきり分かれる結果となったことを伝えた。
記事は初めに「新エネルギー車1317万台を含む3100万台を製造し、市場浸透率が42%に達した24年度の自動車業界の決算報告が大詰めを迎えている。現時点でまだ報告が公開されていない上汽集団(SAICモーター)と北京汽車グループの北汽藍谷を除くと、大手自動車メーカー各社の中で、販売台数と純利益が共に大幅増のところもあれば、赤字に転落しただけでなく損失幅が徐々に拡大しているところもあり、はっきり明暗が分かれ、深刻化しているのを見て取れる」と伝えた。
記事によると、自家用車を主に製造している13社のうち、8社が営業収益1000億元(約2兆円)超えを達成した。特に比亜迪(BYD)は今回初めて7000億元(約14兆円)の大台を突破した。広汽集団(GAC)と江淮汽車の2社だけが前年同期比で収益減となった。
純利益については、8社が黒字で前年同期比でも業績を伸ばした。業界全体での利潤は約1000億元で、うちBYD、吉利汽車(Geely)、長城汽車(グレート・ウォール・モーター)の3社の純利益が100億元を超え、3社の合計で業界全体の利潤の4分の3以上を占めた。純利益の増幅度では賽力斯(セレス)が342.7%で業界最高を記録した。そのほか、蔚来汽車(NIO)の純損失が業界最大の224億元(約4480億円)を計上した。江淮汽車は唯一赤字に転じ、前年同期比で1277.6%減だった。
粗利益については、全体で平均約15%アップした。特に賽力斯と理想汽車(Li Auto)は20%超えの伸びを見せた。逆に最も低かったのは広汽集団の6%だった。営業収益と純利益の2項目共に伸びを記録したのは8社で、広汽集団と江淮汽車の2社が2項目とも下落した。他に長安汽車と理想汽車が増収減益で、純利益の下落幅が30%を超えた。
まだ決算報告が上がっていない上汽集団と北汽藍谷については、推計で上汽集団が19億元(約380億円)の純利益、北汽藍谷が65億元(約1300億円)の純損益があるとみられる。香港での新規株式公開(IPO)を実施する奇瑞汽車(チェリー・オートモービル)は24年の営業収益が4800億元(約9兆6000億円)を突破したと報告した。業界内で後発の小米汽車は、シャオミグループ(小米集団)全体の報告からの推測で、収益が321億元(約6420億円)、粗利益が18.5%、純損失が62億元(約1240億円)とされている。
記事は「増収増益のトップ3社であるBYD、吉利汽車、長城汽車は全て自社ブランドを展開する民間企業だ。特に営業収益と純利益の規模が飛び抜けているBYDの存在が目を引く。24年度のBYDの通年販売台数は前年同期比41.3%増の427万台を超え、世界屈指の自動車企業グループに躍り出た。堅実な業績の伸びを背景に現金保有を高めたBYDは、24年末までに新記録となる1549億元(約3兆980億円)を準備したと同時に、有利子負債を23年度の365億5000万元(約7310億円)から、総負債額中の4.9%に当たる285億8000万元(約5716億円)まで減らした。金に糸目を付けない同社は現金120億元(約2400億円)をボーナスとして放出し、自己準備資金の600億元(約1兆2000億円)で低リスクの融資商品を購入して資金の安全性が担保された前提の下、合理的な資金増を実現した。BYDもマーケットでの資金に支えられており、3月初めには434億香港ドル(約7958億円)を調達し、過去10年の自動車業界の世界で最大級の株式再融資項目となった」と伝えた。
米コンサルティング会社オリバー・ワイマンの張君毅(ジャン・ジュンイー)氏は「研究開発領域への高額投資が継続できるかが自社ブランド台頭の鍵になる。BYDは24年に研究開発部門に前年比35.7%増の541億6000万元(約1兆832億円)を投入し、同時期の純利益では米テスラを219億元(約4380億円)上回った。BYDの直近13年の研究開発部門への投入額は累計1800億元(約3兆6000億円)に上る。吉利汽車も24年に研究開発部門に159億元(約3180億円)を投入した」と述べた。
記事は「民間企業のメーカー3社と比較すると、国有企業系のグループ企業はいまだに難しい転換期にある。経営状況が比較的良好な長安汽車を例にすると、24年度の販売台数は268万台で直近7年では最高記録を更新した。営業収益は前年同期比5.6%増の1597億元(約3兆1940億円)だったが、純利益は直近5年で初めて下降し、前年同期比35.4%減の73億元(約1460億円)だった。非経常的損益を除いた利益は26億元(約520億円)で、販売台数と利潤の逆転状況が出現している。決算報告をひも解くと、長安汽車の主力製品は合弁企業ブランドが主力とするガソリン車で、売上業績の72.6%を占めた。中でも米フォードとの合弁企業「長安福特」の24年度の販売台数は前年比6%増の24万7000台で、純利益への貢献は20億9000万元(約418億円)になる。その他のブランドと比較しても好成績だが、マツダ自動車との合弁企業「長安マツダ」は同14.7%減の7万6000台だった。長安マツダの状況こそ大部分の合弁ブランドの状況を代表するものだろう」とした上で、「3月の新エネ車の市場浸透率は51.8%に達し、50%の大台を突破した今、合弁ブランドの市場シェアの萎縮が継続しているのは疑いようがない事実だ。販売台数全体の27.4%を占める長安汽車の新エネ車に競争力が欠けているのは明らかで、合弁ブランドの利益の減少も続いている。新エネ車への転換において、主力製品を売れば売るほど損をしている点が長安汽車の利潤に影響を及ぼしている主な原因だ。EV市場においては、大衆向けの深藍汽車とハイエンド向けの阿維塔(ファーウェイ系)が長安汽車のブランドのツートップだが、24年の営業収益は前者が372億2000万元(約7444億円)で、純利益がマイナス15億7000万元(約314億円)、後者が153億5000万元(約3070億円)、純利益がマイナス40億2000万元(約804億円)で、合計損失は55億元(約1100億円)を超える」と指摘した。
続けて「新エネ車転換による長年の損失と向き合う長安汽車は、研究開発部門への投資をおろそかにはしていない。24年は前年比12.8%増の101億6000万元(約2032億円)を主に新エネ車の技術開発へ投資した。同時に販売チャンネルの拡張とブランド宣伝のコストを高めるため、セールスと管理費が営業収益に占める割合を6.9%に増額した。注目すべきは24年度の長安汽車の総資産負債比率が62%に上がっており、営業活動によるキャッシュフローは前年同期比で75.6%に減少している」と指摘した一方で、長安汽車の人事異動と東風汽車との経営統合に向けた事前協議について言及し、「長安汽車の決算発表当日、長安汽車の王俊(ワン・ジュン)社長は取締役会で辞表を提出した。王氏は長安汽車内部で新エネ車への転換を推進し、深藍と阿維塔の2大ブランドを売り出した人物でもある。国内市場の激しい競争の中でもこの2大ブランドの販売台数はそれなりに満足のいく成績だったが、価格競争の囲みを突破できず、損失も徐々に大きくなっていた。王氏はすでに長安汽車の親会社である中国兵器装備集団の副総経理に就任し、2月に明らかになった東風汽車と長安汽車の経営統合に向けた事前協議の際もこの人事異動に注目が集まった。長安汽車の朱華栄(ジュウ・ホアロン)会長は24年度の業績説明会の際、東風汽車との経営統合に関する基本方針は固まっているとして、経営統合が長安汽車の経営戦略や企業成長、既存のブランドや技術規格などに影響を及ぼすことはないと強調した。長安汽車の状況は国有自動車企業の現在の状況を表す一例だが、他の国有企業も合弁ブランドの利潤の水増しや新エネ車への転換で損失が継続している苦境に向き合っている」と伝えた。
記事は最後に2人の専門家の意見を紹介した。1人目のフィッチ・レーティングスのアジア太平洋企業格付け部門ディレクター、ヤン・ジン氏は「新勢力の企業と比較すると、国有自動車企業グループは企業の評判や融資能力の面でまだ優勢な状況にある。これらの要素は消費者が国有企業のブランドを選択するのに補助的な力を発揮するが、激しい市場競争を勝ち残るために、国有企業はこれまでの快適な領域から踏み出して競争に向き合い、ユーザーのために製品を設計し、高品質のサービスを提供する必要がある」と述べた。
2人目の調査会社LMCオートモーティブの市場研究担当の曾志凌(ズン・ジーリン)氏は、「現在の国内自動車業界はまだトーナメント戦の最中で、市場はこれ以上の企業を内巻き式の競争に受け入れる余裕はない。長期的に利潤を得られない企業は倒産するか、他企業との吸収合併などの運命が待っている。国有企業は相対的な規模が大きく、新エネ車への転換難度も高い。今は転換への産みの苦しみにあり、利潤の波もさらに大きくなるだろう。ただ潤沢な資金備蓄と政策のサポートでさらに大きな試用空間が生まれている。長安汽車と東風汽車の合併協議から考えると、今後は多くの経営統合協議のケースが出現するかもしれない」と述べた。(翻訳・編集/原邦之)
Record China
2025/4/18
Record China
2025/4/18
Record China
2025/4/18
Record China
2025/4/18
人民網日本語版
2025/4/18
Record Korea
2025/4/17
ピックアップ
この記事のコメントを見る