八牧浩行 2014年11月12日(水) 5時40分
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政府はマイナンバー(国民共通番号)を銀行の預金口座に連結させる方針。個人の資産を正確に把握できるようにすることで、公平に税や社会保険料を負担する仕組みを構築、取りはぐれを極力なくす。写真は東京・下町商店街。
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政府はマイナンバー(国民共通番号)を銀行の預金口座に連結させる方針。個人の資産を正確に把握できるようにすることで、公平に税や社会保険料を負担する仕組みを構築、取りはぐれを極力なくす。現行法では預貯金口座との連結は認められていないが、関係する法律を改正し、2018年度をメドに新たに開設する口座から導入する。
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日本の銀行の個人預金の口座数は10億口座に上り、マイナンバーが預金口座と直結すれば、脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)や生活保護の不正受給を防ぎやすくなる。給与や年金だけでなく、投資で得た利益などを含めた収入を基準に社会保険料などを算出することが可能になる。企業に対してもマイナンバーや企業ナンバーを活用すれば正確な取り立てが可能となる。
会社員は通常、源泉徴収により税や社会保険料を自動的に給与から天引きされるが、自営業者や開業医らは自ら申告して支払う方式。脱税につながりやすく、マイナンバーを預金口座や医療費の支払い情報に結び付けられれば、税収も上がると見られている。
税を徴収する国税庁と年金保険料を徴収する日本年金機構を統合した「歳入庁」の創設も検討課題。マイナンバーに歳入庁創設と併せれば、国税庁が持つ法人データが活用できる。保険料の徴収漏れがなくなり、税・保険料で年間10兆円以上の収入増につながるとの試算もある。この額は消費税の6%引き上げ増収分に相当するというから巨額である。
◆個人情報保護、セキュリティに課題
マイナンバーは膨大なデータ情報がぶら下がるため、セキュリティ確保やプライバシー保護などの課題は多い。内閣府は第三者機関を内閣府に設置、罰則の強化などにより「抑止に万全を期す」としている。
マイナンバーは国、個人、企業にとって大きなメリットがあり、日本の経済社会に及ぼすプラスの効果は大きい。大半の欧米先進国や韓国が導入している。情報漏えいなどマイナスの要素を極力抑え、官民が一致協力して安全で使いやすいツールに発展させることが必要であろう。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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