八牧浩行 2014年12月9日(火) 5時32分
拡大
OECD、IMFなど各種国際機関の中期予測によると、世界全体のGDP(国内総生産)に占める中国の割合は2014年の13%から24年には20%に拡大、「米国を抜き世界一の経済大国になる」という。写真は上海市。
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2014年12月8日、OECD(経済協力開発機構)、IMF(国際通貨基金)など各種国際機関の中期予測によると、世界全体のGDP(国内総生産)に占める中国の割合は2014年の13%から24年には20%に拡大、「米国を抜き世界一の経済大国になる」という。米調査会社HISもこのほど、中国のGDPが2024年に、米国を追い越すとの見通しをまとめた。
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2009年に日本のGDPを抜いた中国のGDPは、今年、日本の2倍以上となり、2020年までに3倍に拡大する見通し。日本円が大幅安となっていることもこの傾向に拍車をかける。
OECD(経済協力開発機構)の短期見通しによると、中国の経済成長率は14年が7.3%、15年は7.1%。日本は14年が0.9%、15年は1.1%。米国については14年が2.2%、15年は3.1%成長と予測している。その差は歴然だ。
英スタンダードチャータード銀行の「中国の経済発展予測」でも、中国のGDPは22年にアメリカを超えて世界最大となるという。英エコノミスト誌が編集した「2050年の世界」によると、2050年に世界全体の中で占めるGDPシェアは、中国30%、米国18%に縮小、日本はわずか3%にとどまるというから衝撃的だ。
吉野直行・アジア開発銀行研究所長 は「アジアの世界GDPに占める割合は2013年の38%から2050年には50%に拡大する」と予測。中国経済について、シャドーバンキング(影の銀行)中国の地方政府の財政収入のうち、土地関連は40%に達する。シャドーバンキング(影の銀行)問題について、地方の金持ちが投資したが、この人たちが損したもので、国内社会で吸収されている。シャドーバンキング(の焦げ付きが)原因で中国経済が崩壊することはないとの見通しを示している。
一方、IMFは為替の影響を排除した購買力平価(PPP)ベースのGDPで中国が今年、米国を抜いて世界一に躍り出るとの見通しをまとめた。2014年の購買力平価GDPは、(1)中国17兆6320億ドル、(2)米国17兆4162億ドル、(3)インド7兆2772億ドル、(4)日本4兆7880億ドル、(5)ドイツ3兆6213億ドル―の順となる。購買力平価ベースのGDPは各国の物価水準の違いを修正したもので、より実質的な比較が可能とされている。
中国はすでに高度経済成長のピークを過ぎ、徐々に安定成長期へと移行。以前の2ケタ成長の勢いはなく経済成長率は緩やかに低下しつつある。しかし世界第2の経済大国でありながら主要国では断トツの7%台のGDP成長率を維持。雇用、物価情勢も長らく安定的に推移している。11月の貿易統計によると、米ドルベースでの輸出は前年同月に比べ4.7%増と、8カ月連続で前年の水準を上回った。
沿海部から内陸部への開発や農村の都市化が進展、サービス産業の拡大や高速鉄道・高速道路など経済波及効果の高いインフラ投資が景気を下支えている。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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