如月隼人 2017年3月21日(火) 15時40分
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中国が北朝鮮問題に対する危機感を強めている。そのあらわれのひとつが、国内での情報統制だ。写真は朝鮮半島関連の地図。
中国が北朝鮮問題に対する危機感を強めている。そのあらわれのひとつが、国内での情報統制だ。18日に北京市内で行われた米国のティラーソン国務長官と王毅外相(外交部長)の共同記者会見で、ティラーソン国務長官は、双方が朝鮮半島情勢はかなり危険なレベルに達しているとの認識を共有したと説明したが、中国では報道されなかった。
ティラーソン・王会談については、そもそも報道が極めて少ない。中国外交部の公式サイトには、「米中関係について」、「朝鮮半島情勢について」、「会談全般について」を紹介する3つの文章が連載されたが、中国国内の主要メディアの報道は見当たらない。政府の発表を転載することの多い中国メディアとしては不自然だ。
外交部が発表した文章は朝鮮半島の問題について双方が「一部の大きな方向性については基本的認識を共有できた」と紹介するなど、どの問題についても抽象的かつ無難な表現だった。
同記者会見を扱った例外的な報道としては、中国中央電視台(中国中央テレビ、CCTV)が会談終了後の記者会見の様子をウェブサイトで比較的詳細に伝えたが、朝鮮半島情勢の「危険なレベル」発言には触れなかった。
当局が報道規制を行っているのはほぼ明らかだ。理由として考えられるのは政策と民意の乖離(かいり)だ。まず理解せねばならないことは、中国当局にとって北朝鮮が「なくなってしまっては困る国」ということだ。北朝鮮の崩壊により韓国により半島が統一された場合、米軍は中朝国境にまで進出すると考えねばならない。
そのような状況が中国に与える深刻さは、逆の事態を想像すれば分かりやすい。仮に北朝鮮主導で朝鮮半島が統一されたとする。ミサイル部隊を含めた北朝鮮軍は半島最南端まで進出する。中国軍やロシア軍も進出する可能性も出てくる。そのことが日本や在日米軍にとってどれだけ衝撃的か、多くの日本人は理解できるだろう。
中国当局の思惑とは別に、中国の一般的世論において北朝鮮、とくに金正恩(キム・ジョンウン)政権の評判は極めて悪い。現在の北朝鮮社会は中国人にとって「悪夢」だった文化大革命時代などを思い起こさせる。さらに社会主義を標榜する反面で「世襲制」であることにも違和感を覚える。何にも増して、国民が「食うや食わず」でいる一方で、金正恩氏が「たらふく食べているとしか思えない体形」であることには納得できない。
中国のインターネットでは一時、金正恩を「金三●(●は肉づきに「半」)」と揶揄(やゆ)する書き込みが大量に出現した。「金家の3代目のデブ」ということだ。中国当局は北朝鮮側の不快感に配慮し、「金三●」などの書き込みを規制している。
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