<コラム>33年ぶりの再会(前編):私だけ中国の母校から返事がなく真っ青に

小林 晶子    2017年4月11日(火) 13時40分

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2016年10月初旬、中国政府が日本の留学経験者に対し中国へ招待する企画を行っているという情報を得た。筆者提供。

2016年10月初旬、中国政府が日本の留学経験者に対し中国へ招待する企画を行っているという情報を得た。期間は10月30日〜11月5日。訪問地は北京と上海。窓口は早稲田大学の孔子学院だそうだ。

私は2年半前から訪日外国人に対する通訳ガイドの仕事をしている。仕事を始めた当初は、上海港などからクルーズ船でやって来る中国大陸のお客さんが多かった。ところが最近、クルーズ船のガイドの仕事は在日中国人ガイドに独占されてしまった。現在は、細々と個人旅行客に対する日帰りガイドをやっている。個人旅行の場合、香港や台湾から来るお客さんが多い。彼らの訪日目的は、日本の美味しい食べ物であったり、買い物であったりする。日本の歴史や文化にほとんど興味がない人が多い。ガイドをする上で少し物足りないなと常に感じていた。

ところが、ある時、やはり個人旅行ツアー(佐賀県有田地方行き)で北京から来た家族を案内する事になった。有田は日本の磁器発祥の地であり、豊臣秀吉の時代から現在まで400年の磁器製造の歴史がある。私がその話を始めると、家族の中で特に磁器好きのおばあさんが、わざわざ私の席近くまでやってきて、熱心に耳を傾けてくれた。そして、磁器の歴史から始まり、日本全体の歴史、伝統的な日本の風習文化(例えば枯山水)、日本人の職業意識など、様々なことに興味を持ち、どんどん質問してこられた。問題があまりに深すぎ、時には回答に窮することもあったが、質問に答えながら、ガイドとしてのやり甲斐を感じることができた。思うに、紀元前から続く長い歴史を持つ中国大陸の人々、特に教養人は、自国の歴史に誇りを持つと同時に、他国の歴史文化にも興味を持ち、議論することがお好きなのだろう。私は深い感動を覚えた。そしてその頃から、また再び、中国大陸の人々と触れ合ってみたいと強烈に思うようになった。

私は、1985年に神戸市外国語大学の中国学科を卒業した。在学当時の2年生の春休み、すなわち1983年2月〜3月の1カ月間、上海交通大学に語学留学した。交通大学の留学プログラムは内容が豊富で、午前中の中国語の授業の他、毎朝6時から30分間、中国武術の一種である初級剣のレッスン、午後からは京劇鑑賞、厨房に入って中国のシェフが作る中華料理の鑑賞・試食、映画鑑賞、蘇州・無錫への日帰りツアー、杭州への1泊ツアーなど様々な行事があった。学生であった私は好奇心旺盛。どれもとても楽しかった。ただ残念なことに、当時の中国は燃料不足で、長江以南は冬でも暖房を使うことが許されなかったため、宿舎の部屋は非常に寒かった。また、33年前であるので、宿舎の設備が貧弱で色々な不具合が生じた。しかし、そのたびに顧永平さんという親切な人がやって来て、誠心誠意対応してくれ、不具合を直してくれた。そのため生活面で多少の不便は感じても、気分的には爽快で、不愉快な思いをすることは無かった。

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