<コラム>日本各地に残る徐福伝説、韓国の済州島にもその足跡が

木口 政樹    2017年5月31日(水) 23時0分

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朝鮮半島の南の海にぽつんとミジンコのように浮かぶ島。これが済州島である。写真は済州島。

済州市に「三姓穴」(サムソンヒョル)という遺跡がある。草の原に穴が三つぽかんと開いているだけの遺跡だ。その昔、この穴から1人ずつ神様が出てきた。名前はそれぞれ良乙那(ヤンウルナ)、高乙那(コウルナ)、夫乙那(プウルナ)といった。3人の神様が山に登って見てみると、島のどこにも馬、牛、人の姿は見えなかった。3人の神様は毎日海辺に出て、魚や貝を採ったり、山に登って木の実を採ったりして暮らしていた。ある日いつものように海辺に出てみると海の上を大きな木の箱が流れてきた。引き上げてみると中から紫色の着物を着た人と石の箱が現れた。石の箱の中には青い着物を着た娘が3人いた。米や麦の種があり、子牛や子馬もあった。3人の神様が驚いていると、紫の着物を着た人が立ち上がって、「私は東の国からお使いに参りました。王様があなた方がこの島にいることをお聞きになってこの若い女の方々をお遣わしになりました。どうぞこれからご一緒に助け合ってこの島が栄えるようにしてください」と言うと、そのまま雲に乗って高く上がっていくのだった。

3人の神様は、3人の娘と力を合わせて野を耕し、種をまき、草を刈って子牛や子馬を育てた。3人の神様は名前はあったが王と家来の区別がなかった。そこで弓を引いて一番上手に的を射た者が王になることにしてそれぞれ弓を引いてみた。結果、高乙那が一番上手に的に当てたゆえ彼が王となり、ほか2人は家来となった。王の家にも家来の家にも子どもがたくさん生まれ、牛も馬もだんだん増えていった。米も麦もよく実り島は大いに発展していったそうな。これが三姓穴にまつわる伝説である。この内容は、昭和7年朝鮮総督府発行の『普通学校国語読本巻五』の中にあるものである。

■筆者プロフィール:木口政樹

イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大学校教授(2002年〜現在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。

■筆者プロフィール:木口 政樹

イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大学校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓国』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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