中国でも人気、日本の「子どもの幸せにつながる」絵本を世界へ

月刊中国ニュース    2017年6月11日(日) 21時10分

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創業は1957年、今年で創立60年を迎えた株式会社童心社。代表取締役・田中正美氏に、その歴史から経営戦略、中国との交流までざっくばらんに話していただいた。

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編集者には、必要なら作家の文章に赤を入れられる文章をしっかり見る目、作品にふさわしい絵を選ぶ眼力、発達心理学や教育学の知識など様々な力が必要で、編集者として成長するには先輩について学ぶ外、幼稚園や美術館に実際に足を運んでみることも大切だ。一人前になるには8年から10年かかる。

「今後よい人材を採用すること、人材を育てられる環境を作っていくことが目下の課題です。特に女性が安心して働くには、出産や育児休暇を取ったり働き方を調整できる環境が必要ですし、技術や知識の部分は編集長の仕事ですが、制度の部分で安心して働き続けられる環境を整備していきたい」と田中氏は言う。

■生身の触れ合いを大切にする「紙芝居」を広めたい

日本で生まれ、独自の文化財として親しまれている紙芝居の今後について田中氏はこう考えている。「スマホ、タブレット、PCなど視聴覚媒体が多様性を持ち、子どもたちの身の周りに大きく広がつています。しかし子どもたちへの影響力をもつ紙芝居は、展開の仕方、演じ方の特性からも、生身の人と人との触れ合いを前提とするからこそ、むしろ今の時代に存在価値を増していると思います。高度情報化が進む社会で、生身の人間同士のかかわりが希薄になり、孤立感や疎外感が蔓延しつつある今こそ、紙芝居を社会の最も大切な存在である子どもたちの世界にさらに広め、高齢者層にも活用してもらう可能性と必要性があります」。

■日本の文化「紙芝居」を海外へ

2005年、日本の絵本作家の呼びかけから始まり、中国、韓国の絵本作家たちや出版社同士の交流を通して絵本を三カ国で共同出版することができ、絵本史上初めての試みとなった。

十数年前に義父と共に北京を訪れたのがきっかけで、それ以来毎年中国を訪れているという田中氏。会社としても、出版契約の下に約220点の絵本が中国で出版され、『14ひきシリーズ』は数百万部を売り上げており、中国との縁は深い。

2016年には、上海で絵本や紙芝居の貸し出しをおこなうボランティア団体「上海虹文庫」の招きに応じて、日本の紙芝居を紹介するために、社員12人で手分けして上海と北京を訪問した。幼稚園や小学校で紙芝居を上演したほか、関係者向けの講座やワークショップも開催し、子どもたちにも大人にも大好評を博した。

「日本の文化が海外で認められて広がっていくのは嬉しいこと。中国とは、そういう関係を強めていきたいですね。国や言葉は違っても、同じ絵本や紙芝居を見た体験を共有できる。それは子どもたちが大人になった時、相手に興味を持ち、また理解する大きな力になることだろう。今後もオファーがあれば積極的に応えていきたいです。会社を引退後、まず中国留学で語学力をつけ、自らの言葉で紙芝居について説明し、演じ、中国に紙芝居の普及をしていきたい」と田中氏は語った。(提供/月刊中国ニュース)

田中正美(タナカマサミ)

1952年東京都生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。埼玉県職員、株式会社丸昌、株式会社第一経営相談所勤務を経て2013年5月より株式会社童心社取締役。十数年前に、義父との中国旅行を機に中国に関心を持ち、その後毎年中国訪問。引退後は、中国留学を経て中国への紙芝居紹介をライフワークとしたいと考えている。

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