中国人社員の目に映る日系の「企業文化」、彼らの共感を得るにはどうすべきか

月刊中国ニュース    2017年9月3日(日) 13時50分

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相手を納得させるために最も「効く」一言とは何か?資料写真。

この結論を裏返して言えば、もし会社の企業文化が中国人の価値観に合致しなければ、それは彼らの意欲を殺す凶器になると推論できるだろう。

それでは中国人の目に映る日系企業の「企業文化」には一体どのような特徴があるだろうか。ここで筆者が現地のホワイトカラーから聞いてきた代表的な評価を取り上げてみよう。

【プラスイメージ】

組織力、チームワークの力を非常に重視する。チームワークのパフォーマンスを最大限に生かすのが会社の強みなので、社員間の協力姿勢は評価の上位指数と見なされる。

会社の永続的な発展を優先する。長期志向の企業文化により、社員の雇用は保証される。

「女性的な」企業文化が現地日系企業の共通した特徴。経営にも安定と穏健が見られ、社員に対する期待も「優しく、細かく、控え目、穏やかさ」といった女性的なふるまいや行動スタイルが暗黙に求められる。安定を期待する就職志向の社員、女性にとってありがたい職場である。

【マイナスイメージ】

「日系企業は、上司に対して絶対的な服従を強要する風土がある。中国人の上司も変わらないが、問題は日本人上司は自分の指示に従わせる際、理由などの説明を省略することだ。部下は最低限の尊重も払われないと感じてしまうため、納得できない」。

「昇進できるかどうかの基準は、能力よりも勤務年数。日系企業の出世文化と言えば、“熬”(まるでとろ火で煮物を煮込むように、長い時間を掛ける意味)の一文字に尽きる」。

「日系企業の残業文化には耐えられない。我々中国人が駐在員のように毎日残業したら、すぐに妻から離婚届を渡されてしまう」

「日系企業に入ってから、以前勤めた国営企業の職場が懐かしくなってきた。オフィスは元気な会話や大きな笑い声で活気に溢れていた。今のオフィスはまるで墓場のよう。特にボスが入ってくるとまるで猫がネズミの大本営に入ったようにシーンとする」。

■西洋の薬も中医薬のカプセルで包むと消化しやすい

日系の企業文化が中国人の価値観と融合しながら社員の共感を得ることは大きな課題になっている。これには欧米企業の成功経験が参考になりそうだ。

中国に進出したエリクソンは良好な「労使関係」を企業文化の基盤とみなし、その価値観の核を「社員の共感」と「主人公精神」と定め、社内の合言葉として頻繁に使ってきたという。その価値観を一体どのようにして社員に実感させたかと尋ねると、9年間勤めた人事マネジャーの張遠志氏は、「家族的な雰囲気を醸成させることだ」と言い切った。

例えば子供の日、会社は社員の子どもたちを迎え入れて親の仕事場を見学してもらい、仕事の内容や意味を丁寧に説明する。子どもたちはそれにより大きな誇りを持ち、両親との絆も深まる。このような家族ぐるみの活動は、社内行事の目玉として様々な形で実施され、毎回大きな反響をよんでいる。

家族的な組織文化は血縁関係や人情で結ばれた関係が重視されているので、現代企業、とくに欧米企業の価値観とは縁遠く思えるが、なぜ両者を調和させようとしたのだろうか。人事部の張氏は、「わが社が企業の価値観と現地従業員の価値観との接点を見出そうとした結果ではないか」とエリクソン側の考え方を代弁した。その考え方の裏には、中国は血縁関係や人情を最も重視する社会であり、このような価値観を企業文化に織り込めば、中国人に親近感をもってもらいやすいという会社側の狙いが透けて見える。

中国人に一番受け入れやすい処方箋といえば中医薬だ。西洋の薬を中医薬のカプセルでくるめば、中国人にとって呑みやすく「消化」もしやすくなるというものだ。(提供/月刊中国ニュース)

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