日中翻訳学院「武吉塾」第19期修了式・公開セミナー開催=第6回「翻訳新人賞」、学院創設10周年記念事業を発表

日本僑報社    2018年2月22日(木) 15時0分

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日本僑報社・日中翻訳学院は、翻訳家の武吉次朗先生が講師を務める中文和訳の通信講座「武吉塾」の第19期公開セミナーを2月17日(土)午後、東京・池袋のIKE・Bizとしま産業振興プラザで開催した。

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日本僑報社・日中翻訳学院は、翻訳家の武吉次朗先生が講師を務める中文和訳の通信講座「武吉塾」の第19期公開セミナーを2月17日(土)午後、東京・池袋のIKE・Bizとしま産業振興プラザで開催した。全国各地から武吉塾の受講生を中心に約30人が集い、武吉先生の翻訳講義を始め、第6回「翻訳新人賞」の授与式、受講生交流会に至るまで、充実したひと時を過ごした。

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会場の後方には、人民中国に年間連載された町田晶さんの訳文『悩まない心をつくる人生講義―タオイズムの教えを現代に活かす―』を掲示。また、日本僑報社の段躍中編集長の冒頭の挨拶では、日中翻訳学院の翻訳チームが手掛けた大作『中国政治経済史論』が、毎日新聞掲載の書評で橋爪大三郎氏に高く評価されたことが紹介され、学院にとっては実りのある半年であったことがうかがえた。

恒例の武吉先生による講義は、「語感の違いについて」と題して進められた。普通の辞書に載っている「意味」とは異なり、同義語や類義語の微妙なニュアンスの違いを感じ取る能力を指す「語感」の重要性を、武吉先生はバラエティに富んだ例を交えながら説いた。

工場を「こうじょう」と読めば大規模なものを、「こうば」と読めばこぢんまりとしたものを想像させるといった例に始まり、「ライスカレー」と「カレーライス」の解釈の違いには個人差や世代のギャップがあるという話が続く。「敗戦」と「終戦」の違いに言及した際には、「敗戦後の辛酸をなめ尽くした私は『終戦』というごまかしのあいまいな用語は大嫌いで絶対に使わない」とも語った。

中国語の翻訳でも語感の違いに留意するべきとの指摘があった。中国では100キロメートル以上内陸であっても“沿海地区”と言うほか、“運動会”はオリンピック級の大規模スポーツイベントにも使われるように、日中間での捉え方の違いが翻訳の落とし穴になると注意を促した。また、「語感の違いを感じ取れるように、日頃からものの見方を細かく磨く癖をつける」ことが重要であると助言した。

続いて第6回「翻訳新人賞」の授与式が行われ、川村明美さん、安武真弓さんの両名に同賞が贈られた。また、旧正月2日目というタイミングにちなみ、両名にはそれぞれ賞金3万円が中国のお年玉袋“紅包”で贈呈された。段編集長は祝福の言葉を述べるとともに、「一作目の苦しみを乗り越えてこそ道が開ける」と、受講生にエールを送った。

王義[木危]著『「一帯一路」詳説』を訳した川村さんは、子育ての傍ら、「寝ても覚めても『一帯一路』のことでいっぱいだった」と、政治、経済等の専門用語で試行錯誤した8カ月にも及ぶ翻訳作業を振り返る。そして、「自戒の意味も込めて、賞状は目立つところに飾る」と意欲を語った。

胡鞍鋼・楊竺松著『中国集団指導体制の「核心」と「七つのメカニズム」』を訳した安武さんは、仕事から帰った後の午後9〜10時から深夜まで、疲れた体に鞭を打って翻訳にいそしむ日々が続いた。終盤で訳のミスに気付くこともあったといい、「先の章を見据えて一章ごとに見直す」ことをポイントに挙げた。

最後に、武吉先生を囲んで受講生による交流会が開かれた。和やかな雰囲気の中、全員が近況報告や今後の抱負を語り合った。経験にこそ差はあれ、翻訳に対する熱意とプロ意識は共通事項。そして次回の第20期が、武吉先生が指導する最終回とあって、先生に対する感謝の言葉が並んだ。武吉先生はセミナー終了後、「受講生の話を聞いている時が一番楽しいし元気が出る」と、満足げに振り返った。

また今年、日中翻訳学院は創設10周年の節目を迎える。これを記念して、日本僑報社は、中国で話題の書『習近平講故事』の日本語版を刊行すると発表した。学院では40人規模の翻訳チーム結成のため、翻訳者を募集する。段編集長は本書について、「武吉先生の名前を永遠に残すため、総監修をお願いする」とし、次回の公開セミナーが行われる8月18日に先生に手渡すことを約束した。(高橋豪)

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