如月隼人 2019年1月21日(月) 23時20分
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日本には、「現行犯逮捕」といった制度がありますが、中国にはありません。警察官が犯罪行為を目撃しても<逮捕>はできないわけです。写真は中国の警察官。
ニュース記事と言っても、さまざまな種類があります。中でも政治・経済・社会は三大カテゴリーと言ってよいでしょうか。社会記事の中でも重要なジャンルのひとつが事件記事です。生活する上の「安全情報」のひとつであるからと理解してよいでしょう。
海外ニュースの場合、事件記事は読者の生活圏外の出来事ということで、国内ニュースに比べれば比重は下がります。ただ、相手地域の状況や雰囲気を知るためには、とても重要な情報です。その事件記事について回るのが法律用語です。国によって法律体系や用語の意味することが違うのは、海外の事件記事を書く上で、一考を要するところです。
これまで「ニュース中国語事始め」のシリーズでお伝えしているように、中国発のニュースの場合、原語が漢字を用いているということで、なおさらのこと工夫が必要になります。
事件記事では「容疑者はその場で逮捕された」なんて言い回しがよく出てきます。この「逮捕」という法律用語について、まずは日本での使われ方を確認しましょう。なお、私は法律の専門家ではありません。あくまでも記事書きとして用語を扱った経験で皆さまにご紹介しております。ですから、細かい点は、専門家の解説を参照していただくよう、お願い申し上げます。
さて、日本における逮捕ですが、「通常逮捕」「緊急逮捕」「現行犯逮捕」などの種類があります。このうち、通常逮捕とは「事前に裁判官から発付された令状(逮捕状)にもとづいて、被疑者を逮捕すること」で、この通常逮捕が「逮捕の本道」とされています。
ただ、実際には、検察関係者や警察職員が「刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合」に実行できる緊急逮捕や、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人」に対して実行できる現行犯逮捕の割合はかなり多いようです。少し古いのですが昭和56年(1981年)版犯罪白書によると、金融機関強盗犯人の逮捕の種別で、現行犯逮捕は5割を超えています。緊急逮捕と通常逮捕は2割程度です。
ところで、中国にはこの緊急逮捕や現行犯逮捕の制度がありません。中華人民共和国刑事訴訟法によると、「公安機関(警察)が犯罪嫌疑者の逮捕を要求する場合には、資料や証拠と共に逮捕許可申請書を作成せねばならない。(これらが)同級の人民検察院に移送されれば、許可のための審査を行う」ことになっています。つまり市の警察が容疑者を逮捕する場合には、市の検察の逮捕許可が必要で、県の警察ならば、県の検察の逮捕許可が必要ということです。
日本と異なり、逮捕を認めるのが中立の立場である裁判官ではなく、法律上の責任を追及する検察であるのですが、いずれにせよ、中国では犯罪容疑者を<逮捕 dai4bu3>する場合、公式の書類が必要なわけです。
とはいっても、目の前で犯罪行為が行われていれば、犯人を取り押さえねばならないし、その後の取り調べも必要です。現行犯でなくても、犯罪の容疑が濃厚な人物は身柄を拘束して取り調べなどを行わねばならない。そのような場合の身柄の拘束は<刑事拘留 xing2shi4 ju1liu2>と呼ばれます。
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