<行政デジタル化>マイナンバーカードの健康保険証利用、延期を憂う―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2021年3月28日(日) 7時0分

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マイナンバーカードを健康保険証として病院や薬局で利用できるようにする仕組みについて、厚生労働省が開始を10月に半年延期すると表明した。医療データのデジタル化は政権肝煎りの政策だけに残念である。

マイナンバーカードを健康保険証として病院や薬局で利用できるようにする仕組みについて、厚生労働省が開始を10月に半年延期すると表明した。試行段階でトラブルが相次いだためというが、医療データのデジタル化は政権肝煎りの政策だけに残念である。

マイナンバーカードを保険証として使う仕組みは、3月から54の病院・薬局で試行を始め、月末に正式運用する段取りだった。ところが、マイナンバーカードを読み取り機にかざし、患者が加入する公的医療保険の資格を確認しようとした際、実際の資格と異なっていたり、「資格情報が登録されていない」とされたりするトラブルがあったという。

政府はデジタル社会の実現に向けて2019年6月に示した方針で、マイナンバーカードの保険証利用について、ほぼ全ての医療機関などでの導入を目標に掲げていた。遅れているマイナンバーカード普及を後押しする策としても期待されていたという。

企業の健保組合などが管理する加入者データが不正確だったというが、カードリーダーそのものが作動しなかった病院もあるという。健保組合に責任転嫁するような姿勢には疑問符が付く。新しいシステムの開始時に不具合が起きるのはやむを得ないが、厚労省はシステム全体を早急に総点検すべきである。

保険証のマイナンバーカード化は本人確認の正確さや迅速さを高め、医療機関や調剤薬局でのなりすましを防ぐ決め手になるといわれる。カルテや処方箋、健診結果を本人や医師がデジタルデータとして一覧できるようにする入り口にもなるという。

誤診リスクを最小化するばかりか、大災害時に既往症や常用薬を正しく把握するのに有用だ。ただ医療データは個人情報のなかでも特に機微に触れる。漏洩を許さぬ堅固なシステムが前提だ。

コロナ接触確認アプリの失態をはじめ行政デジタル化には暗雲が漂っている。菅内閣は「デジタル化」を政権の主要目標に掲げ、「デジタル改革相」ポストを新設。「デジタル庁」の創設を計画している。政府は緩んだタガを、総力を挙げて締め直すべきだ。

<直言篇154>

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄 1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

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