<米中外交トップ会談>8時間に及んだ「率直な話し合い」に光明―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2021年3月21日(日) 6時30分

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米中外交トップ直接会談がアラスカで開催された。冒頭激しく互いの主張を言い放ち、異例の応酬になったようだが、会談は2日間にわたり8時間にも及んだという。この実質討議に光明を見出したい。

バイデン政権発足後初めての米中外交トップ直接会談がアラスカで開催された。冒頭激しく互いの主張を言い放ち、異例の応酬になったようだが、ブリンケン米国務長官と中国の外交担当トップの楊潔チ・共産党政治局員の会談は2日間にわたり8時間にも及んだという。この実質討議に光明を見出したい。

ブリンケン氏は新疆、香港、台湾などの問題を提起しながらも、「イラン、北朝鮮アフガニスタン、気候変動について我々の利益は交わっている。幅広い議題について率直な話し合いができた」と述べたという。非難の応酬からは何も生じない。

楊氏は新疆、香港、台湾は全て分離不可能な中国の領土と主張し、「米国による内政干渉に断固として反対する」と反論した上で、「米国との関係について衝突や対立は望まず、相互尊重とウィンウィンの協力を希望する」と話したと報じられている。

米中の対立は次代の覇権を巡る争いが絡むため世界経済のリスクとしてくすぶり続けるとの懸念もあるようだが、バイデン政権発足後初の米中会談を歓迎したい。

二大国の激しい対立は不毛であり勝者はない。米中両国に不利益をもたらすだけでなく、日本を含む国際社会にも多大なマイナスの影響をもたらす。これからも粘り強く対話を重ね、相互にウィンウィンの道を切り開くべきである。

トランプ政権時の米中貿易戦争の結果、日本の输出総量は大幅に減少。特に中国向けの输出が落ち込んだ。従来、中国は日本から工業設備、化学材料、プラスチック製品、電子設備を輸入、加工して米国へ輸出していたが、米国の対中高関税によって、日本も甚大なダメージを受けた。

従来の覇権国家と新興の2番手国家がぶつかり合い戦争に至るとの弁説「トゥキディデスの罠」に陥ると懸念する声もあるが、大国同士の対立の長期化は何としてでも回避しなければならない。

最も重要なのは「戦い」ではなく、「話し合い」である。わが国は安全保障では米国に依存する一方、経済では中国と強い相互依存関係にある。官民ともにこのような状況を理解し、米中対立の緩和に重要な役割を果たすべきだろう。

<直言篇153>

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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