莫邦富 2021年1月22日(金) 18時20分
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新年の食事のことを言うと、やはりおせち料理は避けて通れない。今回はおせち料理を通して在日中国人の食卓事情と中華レストランの試みをチェックしてみたい。写真は料理研究家・小薇さんのおせち料理。
まずは、杉山怡萍(イーピン)さんの家のおせち料理を取り上げたい。
イーピンさんは、バスケットボールの元プロ選手で、医学生でもあった。来日してから日本人男性と結婚。2010年に「第1回国民的美魔女コンテスト」(光文社主催)に参加したイーピンさんは、2300人以上の応募者の中から、20人の美魔女ファイナリストに選ばれた。50歳を過ぎた今、朗読などに取り組んでいる。
杉山家が選んだ新年の料理はなだ万のおせち料理だった。
「義理の弟の仕事の関係で、おせち料理はずっとなだ万さんのを選んでいます。途中2回ほど京都の老舗料亭のものを頼んだことがありましたが、やはりなだ万が好きだと思って、元の選択に戻りました。味というものにはやはり人それぞれの好みとこだわりがありますね。ただ、今は子供が大きくなって、家では夫婦2人で暮らしているので、選択したおせち料理のサイズは自然に小さくなりました」
日本の伝統路線を歩むなだ万のおせち料理の赤い風呂敷きはお祝い事に最適で、新年を迎える喜びをいっそう高めるような気がした。
長年、横浜中華街の名店・聘珍樓に勤めていた上海出身の北沢義之さんの家では、今年は双子の娘さんがおせち料理のスタイルを主導した。小さい頃から美食にこだわる家庭で育った姉妹2人は、伝統的な味よりも、おいしい自己流おせち料理を作りたいと両親に強くアピールして、その支持を勝ち得た。
北沢家のおせち料理は、食材はスーパーから購入したもので、コストは約2万円。姉妹2人は6時間も費やしてやっとその自己流おせち料理を完成させた。「料理そのものはそんなに複雑ではなかったが、盛り付けには相当苦心した」というのはお父さんの評価だ。
しかし、その自己流おせち料理を写した写真は両親によって中国版SNS微信に投稿されると、すぐに注目を集め、好評を博した。
日中両国の文化の薫陶を受けた若い世代のグルメに対する美意識が透けて見えるから、その自己流おせち料理はなかなか面白い。
1990年代初期、ニューヨーク・チャイナタウンに暮らす新華僑を取材していたとき、チャイナタウンで中華レストランのメニューの豊富さと市場の中国料理向けの食材の多様さに感激した。当時、現地のメディアから日本との比較についての感想を求められた。私は「日本の中国人社会が100万人規模ぐらいになったら、おそらく同様の現象が見られるだろう」とコメントしたことがある。
現在、在日中国人社会が70万人規模となり、帰化した人数を入れると、100万人近い規模はあるだろう。ここ10年、日本の中華レストランのメニューや中華料理によく使われる食材が見る見るうちに豊富になってきた。おせち料理を作る中華レストランもだいぶ増えてきた。新華僑系中華レストランは中華料理の世界では明らかに一種の新興勢力として台頭している。
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