<コラム>「僕は日本人なの?それとも中国人なの?」、中国で暮らす日本人が子どもの教育のために奮闘

山口 康一郎    2017年5月22日(月) 15時30分

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先日、中国南西部、雲南省の省都昆明市にある日本商工会の例会に参加しました。資料写真。

補修授業を受ける子どもたちの入学金や学費、商工会支援金などは地元日系企業からの商品提供協力などで行われるバザーや雲南滞在の日本人からの寄付で運営されていますが、まだ日本政府からの補助金は出ていません。理由は、人数が少ないから。人数が今後も増える見通しがないからということらしいですが、とても残念なことです。

現在、小学生が4人、中学生3人 高等部1人の計8人。学費が高く、参加できないという生徒が2人、昆明から遠く、参加できない生徒が1人。

教師陣は、雲南師範大学文理学院外国語学院で教鞭をとられていた方や雲南大学の文化人類学博士課程の先生、雲南大学で日本語教師をしている先生の計3人が授業を受け持っています。

以前は、教室を借りて運営していたようですが、昆明の家賃の高騰により、やむを得ず、会員でもある先生のお宅を借りて運営しているとのこと。教師と言っても謝礼程度、ボランティア精神で運営されているわけです。

保護者会主催のバザーに日系企業から各社の商品の蘭や双眼鏡とか、調味料や飲料などの商品提供があったり、会員のボランティアで運営されているのを聞いて素晴らしいなと感じました。それでも運営が厳しく、去年から授業料値上げをせざる得ない状況だということです。実際のところ、入学金や授業料の負担が減れば、雲南日本補習授業校で学ばせたいという生徒が2人いるという事ですが、学ぶ機会が失われているのは残念ですね。

また、雲南は2014年3月に昆明駅で起こったテロ事件、バス爆発事件などがあって他省と比べて、テロの可能性が高い地域と言われている訳ですが、教室は一般住宅レベルの防犯。授業には父母が付き添っているのが現状のようです。

この状況を日本政府に補助金を願い出ようとした時に動いてくれたのが、日本外務省重慶領事館です。雲南日本商工会との連携もとてもよい事に感心します。

そしてそれは、重慶領事館のスタッフの方々が日本人という事だけでなく人柄も対応もよく、そもそも「外務省〜」とお固いのが苦手の私にとっては、日頃パスポートなどで世話になりながらも縁遠いイメージが払拭されました。

ドラマの『外交官黒田康作』みたいな世界なんてドラマの中だけと思っていたのですが、今の担当領事のお1人が1986年にフィリピンのマニラで起こった日本人誘拐事件“若王子事件”の時の担当だったと知り、外交官という職業をとても身近に感じました。とても熱心で使命感の熱い外交官です。本当に凄い。多忙にも関わらず丁寧で細かい対応に感じ入りました。

失礼ながら 外交官ってそういう方だとは思っていませんでしたので、昆明は運が良かったな、メンバーに恵まれたなと感じている次第です。

海外の中国の地方都市の小さな日本商工会のメンバーが作った日本補習授業校のことを真剣に受け止め、文部科学省の補助金の申請のお手伝いと口添えを丁寧にしていただいた、と商工会メンバーが話してくれました。

どんなところにいても、日本語を学び、日本の文化を知り、成長できる教育の機会を持つことは、日本人の子どもたちにとって権利であり、その機会を与える事は、日本人としての義務でもあると考えます。

そのための活動を中国の片隅で尽力している日本人たちの事を日本に住んでいる同じ日本人の方々にも知っていただき、お気持ちがあれば、寄付でもなんでも、ぜひ、お口添えやご支援いただければ幸いと思い、書かせていただきました。

■筆者プロフィール:山口康一郎

1958年鹿児島で衣料問屋の長男に生まれる。現在、中国辺境雲南省の大理古城に居住。17歳の時に喫茶店を開業。23歳の時に法人設立。その後、年商10億まで拡大するまでに至ったが、視察旅行で感じた中国の面白さにハマり、中国移住を計画。国内事業を全て精算し、離婚までして中国に移り住む。「中国人の性格、考え方、制度」や「中国での日本人の生活や起業方法」など、日本からは見えない中国からの日本人としての視点と、日本の商売人の視点から情報を発信します。信条は「三方よし」。

■筆者プロフィール:山口 康一郎

経歴:1958年鹿児島で衣料問屋の長男に生まれる。鹿児島経済大学(現鹿児島国際大学)中退。現在、中国辺境雲南省の大理古城に居住。受験校で有名なラ・サール中学校に入学するが家庭の事情とビジネスに目覚めたことで中退。17歳の時に喫茶店を開業。23歳の時に法人設立。その後、中古電化製品販売店3店舗、携帯電話(auショップ)販売店7店舗、金券ショップ3店舗等々、年商10億まで拡大するまでに至ったが、視察旅行で感じた中国の面白さにハマり、中国移住を計画。国内事業を全て精算し、離婚までして中国に移り住む。「中国人の性格、考え方、制度」や「中国での日本人の生活や起業方法」など、日本からは見えない中国からの日本人としての視点と、日本の商売人の視点から情報を発信します。信条は「三方よし」。

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