日本の職人精神は中国でも根付く、日本で長寿企業が多い理由とは

月刊中国ニュース    2017年8月6日(日) 15時10分

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ファミリービジネス・ファミリー企業という言葉をご存知だろうか。世界的に見ると、100年を超える老舗、長寿企業の約4割が日本に集中しているそうだ。写真は新宿。

Q.それでは逆にファミリー企業の落とし穴、失敗のパターンと要因にはどのようなものがあるでしょうか。

A.6つの定石をひっくり返せば失敗の要因になるわけですね(笑)。内輪争いや兄弟げんか、親子げんか、これが最大の落とし穴です。倒産の理由は色々ありますが、私はあえていくつかに類型化しています。

第1に公私混同型。金銭意識および身内びいきの異常な強さと事業の急拡大が結合しています。

第2に隠蔽内向型。仲間で非常に仲がよいのはよい点ですが、外に対しては隠すという欠点があります。

第3に管理者不在型。一代目で成功しても、二代目、三代目でおかしくなる。歴史にあぐらをかき、油断してしまうのですね。しかし実は二代目以降こそ、トップの責任が重大なのです。

第4に一族内紛型。親族間の資産争いや親子げんか、株式の過度な分散などですね。

第5に老衰型。先代の成功体験による呪縛や時代環境への不適応などがあります。

第6に後継者不在型。子息に恵まれない場合だけでなく後継者教育の問題も含まれます。

Q.後藤先生の中国との関わりについてお聞かせいただけますか。

A.NECにいた1991年に初めて深センへ行きました。その頃は飛行場もなくて大変でしたね。当時組み立て工場などに見学に行くと、宿舎には10人が同部屋という状況でしたが、皆目が輝いていた。

2016年から、中国では「工匠精神」(職人精神)という言葉が話題になり、私は中国でも職人精神は根付くと思っています。元々論語と仏教は中国からもらった精神ですから。しかしこれから実行するのは、簡単なことではないでしょうが、中国人は日本人よりエネルギーがあるし元気で、これから伸びていくと思いますね。(提供/月刊中国ニュース)

■後藤俊夫(ごとうとしお):

100年経営研究機構代表理事日本経済大学大学院特任教授・事業承継研究所長1942年生まれ。東京大学経済学部卒後NEC入社。1974年ハーバード大学ビジネススクールにてMBA取得。経営戦略(企業の持続的成長)、ベンチャー経営を専門分野とし、日本におけるファミリービジネスの第一人者。様々な大学にて教育活動にも携わる。著作:『ファミリービジネス白書2015年版』同友館(2015年)など多数。

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