Record China 2019年5月31日(金) 17時0分
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今回は研究環境をめぐって研究者の立場から天野浩名古屋大学教授に、それを支える文科省の立場から鈴木寛元文部科学副大臣に、研究現場の現状と未来について語っていただいた。写真は天野浩(左)鈴木寛(右)。
日本人のノーベル賞受賞者や関係者を大学などの関係機関に訪ね、受賞に至るまでのエピソードや受賞後の抱負を取材してきたが、今回は研究環境をめぐって研究者の立場から天野浩名古屋大学教授に、それを支える文科省の立場から鈴木寛元文部科学副大臣に、研究現場の現状と未来について語っていただいた。
天野浩:名古屋大学教授、ノーベル物理学賞
鈴木寛:東京大学/慶應義塾大学教授、元文部科学副大臣
司会:蒋豊 人民日報海外版日本月刊編集長
<ノーベル賞受賞の意義>
――天野先生は2014年に世界初の青色LEDでノーベル物理学賞を受賞されました。この発明はエジソンの白熱電球と同様に、世界の照明にイノベーションをもたらしました。先生ご自身はノーベル賞受賞をどのように評価されていますか。
天野:よくモンゴルの例を出すのですが、モンゴルの遊牧民の方々は、基本的にゲルというテントを使って、季節ごとに場所を変えて生活しています。ただ、非常に厳しい状況で、特に夜が暗いので、遊牧生活を諦める若い人が多かったそうです。しかし、LED電球のおかげで、伝統文化を守る若い人が増えてきたということをお聞きして、非常に感激したことがあります。
それから先日、『ガイアの夜明け』というテレビ番組で、タンザニアの話を紹介していました。タンザニアでは、電化が進んでいない地域が非常に多い。そこで日本人の方が、太陽光パネルを設置して充電したLEDランタンを貸し出す事業をしていらっしゃるのです。タンザニアでは、ろうそくが1本15円だそうです。LEDランタンのレンタル料はちょっと高くて25円だそうですが、灯油ランプのコスト(1日約30円)より割安ということで、たくさんの人が使ってくださっているのを知り、感激しました。
――鈴木先生は文部科学省のお立場から見て、どのように評価なさいますか。
鈴木:今の話にもあったように、まさに人類の歴史を変えたわけで、エジソンの白熱電球の発明以来のことです。これはもちろん天野先生や赤崎勇先生のご活躍の賜物ですが、それを可能にした名古屋大学という素晴らしい大学と、それをつくってきた先人たちの積み重ねがあると思います。特にこの物理の世界には、一代にしてならずというか、連綿とつながる師匠と弟子たちの(笑)、流れがあります。天野先生のお師匠さんだと、どうなりますか。
天野:私の直接のお師匠さんは赤崎先生で、赤崎先生のお師匠さんが有住徹弥先生です。その方が戦後初めて、名古屋大学に半導体の講座をつくられました。そこから連綿とつながっています。
<大学の研究環境の変化>
――今までインタビューしてきたノーベル賞を受賞なさった先生方は、一様に「環境に恵まれた」とおっしゃっていました。名古屋大学の研究環境についてはどう思われますか。
天野:有住先生が、名古屋大学で半導体の講座をつくられたときに方針とされたのは、「自主性に任せる」ということだったそうです。自分でやらないと何も進まない。その流れが赤崎先生にも伝わって、私が学生のときにも、自分自身でいろんなことをする、自分自身で考えるというスタイルで研究室を運営されました。そのスタイルが私には合っていました。
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